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開発コラム No.4 挑戦!
高吸水性不織布の開発

今、ハビックスは事業形態の変革を目指し、様々な取り組みを行っています。
その中で新たに開発された高吸水性不織布の開発秘話をご紹介します。

ハビックスがこれから目指すビジョン

私たちハビックスはこれから新たな事業や加工事業に進化していくために日々研究を続けています。

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特に、衛生用品の分野に関しては、過去から原紙原反メーカーとして関わってきましたが、今後はより一層、最終製品の新たな価値を創造するメーカーを目指して取り組んでいきます。

そんな中で、今回ご紹介する「高吸水性不織布」は、おむつや生理用品で求められる吸水能力を不織布だけでカバーすることを目標に開発を進めてきた製品で、衛生用品の新たな形を提案できるのではと考えています。

おむつはどうやって吸水してる?

現在のおむつや生理用品の多くは、尿などを吸収するために、パルプ繊維の中に高吸水ポリマー(SAP)を混ぜた吸収材を構成しています。
この吸収材の構造は、水分を吸収することで大きく膨れ上がるため、形状がデコボコになり、フィット感が損なわれることがしばしば課題に挙げられます。
そこで、私たちが開発した「高吸水性不織布」を従来の吸収体の代わりに使用することで、形状が保持出来てフィット感が維持できるおむつを開発できると考えます。これによって、現代のアクティブシニアの方々に、より使いやすい衛生用品の形をご提供できると確信しています。

そもそも不織布って吸水するの?

あなたは「不織布」と言われてどんなものを連想しますか?
身近な生活用品では、不織布マスクが一番に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
では、不織布マスクは、水を吸って保持することが出来るでしょうか…答えはNoです。多くの不織布は、化学繊維からつくられており、吸水性能を持っていません。
しかし、当社で製造しているパルプ不織布は、主原料が天然のパルプ繊維であるため、吸水性能に優れ、クッキングペーパーやドリップシートなどの液体を吸収する用途に多く使用されています。
そんな当社だからこそ、吸水性能により特化した不織布の製造できると考え、「高吸水性不織布」の開発に取り組みました。

吸水力アップの製品設計

吸水力をアップを目指し、試行錯誤を繰り返す中で、新たな課題も見えてきました。
高吸水性不織布を衛生用品として使用するためには、吸水力に加えて、「素早く吸水すること」、「吸水した液体が、再び表面に染み出してこないこと(液戻りがないこと)」が必要になります。

これを解決するための手段として、私たちは「高吸水繊維(SAF)」を選定しました。
高吸水繊維は、吸水量をアップさせるだけでなく、素早く吸水し、液戻りがない特長をもった繊維です。

ラボでの性能確認が完了し、いよいよ実機マシンでの試作に移ろうとした際に、大きな問題にぶつかりました。当社パルプ不織布の製造工程では、バインダーという接着剤をスプレーすることで繊維同士を接着し、不織布のシートを形成しています。

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しかし、「高吸水繊維」はこのバインダーに接触すると吸水力が著しく低下してしまいます。
そこで、私たちは試行錯誤を繰り返し、当社パルプ不織布の特長である「3層構造」をうまく利用することにしました。
「高吸水繊維」を中間層に配合することでバインダーとの接触を防ぎ、吸水能力がアップした不織布の開発に成功しました!

高吸水性パルプ不織布が完成!

当社既存パルプ不織布と比較すると3倍近くの吸水能力を持った高吸水性不織布を造ることが出来ました。
これは、A4コピー用紙3枚でペットボトル1本分を水を吸収することができるイメージです!

今後は、おむつや生理用品などの衛生用品に搭載させ、性能の評価を行い、新たな製品として提案できるように取り組んでいきます。

私たち、ハビックスの『原紙原反メーカー』から『最終製品の新たな価値を創造するメーカー』へと進化するための挑戦は、まだ始まったばかりです。今後も皆様の生活に寄り添ったより良い製品の開発を続けてまいります。乞うご期待ください!

紹介製品:高吸水性不織布(膨潤シート)

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